デザイン環世界
デザイン
環世界

「デザインは人をしあわせにする技術である」—— 実践と研究を往還しながら、「自分をとりまくデザイン」を構造化、 あるいは「できない」を可視化して、自由な場を設計する。

多種多様な「デザイン」がどのような要素を内包し、いかにして構成され、実際にどう動いているか。世界をわかるためのツールとして、体系モデル「デザイン環世界」を提唱し、最適化しながら実践している。

デザイン環世界
イメージ
スカラー的な多次元世界の中に「デザイン要素」が離散的に存在し、デザイン行為によって変容しながら、まるで生態系のように相互に作用し循環している。
デザイン要素
行為・工程・成果物・アイデアなど。行為者(人)もまた、デザイン要素のひとつである。
デザイン行為
個々のデザイン要素のニーズや意味を察知し、干渉することで系の機能や品質を変化させる機構。行為者がそれをデザインと意識するかどうかは問わない。
概念の起点
「Umwelt(Uexküll)」の「生態系」における相互作用と循環のイメージを発想の起点とし、情報デザイン研究部会の「環世界」議論も踏まえ、独自に構築した。
参考:ユクスキュル「生物から見た世界」(岩波文庫)/日本デザイン学会情報デザイン研究部会「環世界」議論

概念図・
アイデアスケッチ

デザイン学研究者・編集者&ライター・デザイナー・教員・地域コミュニティ実践者・イラストレーターほか、
多種多様なステイタスと現場から見た「わたしをとりまくデザイン環世界」

Marche Fieldマルシェ的フィールド

学びをもちより、実践する場——「マルシェ的フィールド」

デザイン理論には、「環世界」ほかさまざまな概念がある。研究手法も多々ある。だが、各概念・手法はスライス化されていて、互いの姿はなかなか見えてこない。議論すると接点は見出せるが、議論の外側——たとえば、どこがどう違うのか、あるいは他者の研究を自分の現場に実装したらどうなるのか——差異と実装への問いを往還させていくことで、考えはさらに広がるのではないか。

以上の問題意識から、「マルシェ的」というフィールドを設定した。同じ場に研究をもちよって、議論して、またもちかえる——みんなが遊ぶことができる共通の「お砂場」であり、闘う「バトルフィールド」でもある。

「マルシェ的な場」とは
「マルシェ」は、大学でもビジネス現場でも生活世界でもない、複数の立場や価値観が混ざり合う境界的な場である。そこでは多様な人々が自分の活動を"マルシェ的"に位置づけ、固有の場を築こうとしている。ゆえに「マルシェ的な場」は、異なる研究の視点を交差させ、共有的に議論するための場として有効ではないか。

「マルシェ」は地域に開かれ、誰でも入ることができる。しかし一度中に入ると、物理的な境界と〈あきない〉の論理によって構造化された「閉ざされた環世界」として機能する。特定のマルシェを共通の場にすることはできない。だからこそ2026年は、概念としての「マルシェ」という記号の上を場にする。

ちなみに、筆者による「三条マルシェ」の観察から、二つの知見が得られている。

知見1
物理的に人やモノが流れ、〈あきない〉というfunctionを介在させることで、モノのみならずこと(情報、体験、役割)が交換される。〈あきない〉を介した循環は「現実世界における環世界モデル」として、観察しやすい事例である。
知見2
条件制約的な場において、人というものは課題と自分のタスクを発見しやすく、動きやすい。自分の職分ではなくても「なんかできそう」という軽い動機から、予想以上に力を発揮することさえある。

誰にとっても第三者的なフィールド「マルシェ」を設定することで、全員が同じ立場で議論に参加する。水平な議論構造によって、より活発な意見交換が生まれ、参加者それぞれが新たな知見と方法論をもちかえる場を目指す。「マルシェ」は、議論の内容であると同時に、議論の形式そのものである。